2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21730254
|
Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
山下 耕治 Nagasaki University, 経済学部, 准教授 (60346905)
|
Keywords | 市町村合併 / 未合併団体 / 財政競争 |
Research Abstract |
本研究の目的は、未合併団体の財政行動を実証的に解明することである。例えば、合併が進展した地域では、財政優遇措置の適用を受けることで、新市一体化のための公共事業や新たな街づくりのための公共事業が活発に行われることになる。合併団体のそのような取り組みに対して、未合併団体は何ら財政行動を変えることがなく手を拱いていたのだろうか。あるいは、地域の魅力を再構築するための施策や財政の持続可能性を維持するための経費削減に取り組み、自立に向けた財政行動を取ったのだろうか。本年度に構築したデータベースから得られた予備的な分析結果は次のとおりである。 第一は、人件費に関するものである。合併団体であれば、出先機関や公共施設の整理統合等による効率的配置によって人件費の削減効果が期待される。その経費削減効果を現時点で議論するのは早計であるとはいえ、合併団体の職員給は、H10年度を基準にH19年度時点で既に11.4%の削減がなされている。ところが、未合併団体ではそれを上回る削減が達成されており、その削減率は18.3%である。職員数に関しても同様の傾向が確認され、未合併団体において、よりその削減が進展している。 第二は、公共事業とその財源となる地方債現在高に関するものである。地方の公共事業は、90年半ば以降のわが国の財政再建の過程で大きく減少した。例えば、未合併団体の単独事業費は、H10年度を基準にH19年度時点では56.2%も削減されている。この傾向は合併団体においても同様で、その削減率は52.2%である。公共事業の半減が合併の有無に関係なく共通の現象であっても、その財源である地方債の積み増しには差異がある。合併団体の地方債現在高は11.4%の増加であるが、未合併団体では1.8%の増加に留まっている。
|