2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21730255
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
永田 邦和 Kagoshima University, 法文学部, 准教授 (00323915)
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Keywords | 預金市場 / 市場規律 / 不良債権問題 / 預金保険制度 / ペイオフ解禁 / 地域金融市場 / 中小金融機関 |
Research Abstract |
今年度は、都銀と地銀、第二地銀のデータを用いて、預金変化率が銀行のリスク指標に与える影響を分析した。銀行のリスク指標として、営業経費や不良債権、不良業種向け貸出を用いたが、多くの指標が預金変化率と有意に相関しており、預金の流出に対して、銀行が経営の健全化に取り組むようになったことが示された。なお、不良債権残高については、二段階最小自乗法を用いた分析も行った。預金変化率が不良債権残高の変化率にプラスの影響を与えており、預金の流出が銀行の不良債権処理を促進しているという結果が得られた。この分析結果は、「預金市場の市場規律と不良債権問題」という題名で論文にまとめて、2010年3月に学術雑誌に投稿した。 また、今年度は、第二地方銀行や信用金庫のデータを用いて、営業地域の都銀や地銀の店舗シェアが、預金者のリスク反応度に与える影響を考察した。その結果、都銀の店舗が多い地域では、第二地銀や信金の預金者がリスクにより敏感に反応するという結果が得られた。しかし、ペイオフ解禁の直前である2001年度末については、都銀の店舗が多い地域では、預金者はリスクには反応しておらず、too-big-to-fail政策への期待から、大手銀行に預け替えていた可能性も示された。研究結果は、「地域金市場の競争環境と市場規律」という題名で、2009年度生活経済学会九州部会において報告した。
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Research Products
(1 results)