2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21730255
|
Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
永田 邦和 鹿児島大学, 法文学部, 准教授 (00323915)
|
Keywords | 預金市場の市場規律 / 預金保険 / ペイオフ解禁 / 不良債権処理 / リストラ / 不良業種貸出比率 / 追い貸し |
Research Abstract |
今年度は,都市銀行と地方銀行,第二地方銀行のデータを用いて,預金変化率が銀行のリスク指標に与える影響を分析し,研究成果を二本の論文にまとめた.永田(2010)では,預金残高の変化率が不良債権処残高の変化率にプラスの影響を与えているという結果を得た.預金の流出が銀行の不良債権処理を促進することが示された.また,ペイオフ解禁により,預金者のリスク感応度が高まると,預金市場の影響力が強くなることも示された.ただし,永田(2010)では.預余市場以外の金融市場をモデル化していないので,他の市場の規律付けが有効であるときに,預金市場規律を過大に評価してしまう可能性がある。この点については,今後の研究課題としたい. 永田(2011)では,複数の指標を取り上げ,どの指標が預金市場からの影響を受けているのかを明らかにして,預金市場の影響力の強さを考察した.永田(2011)では,経費率と不良業種貸出比率,不良債権比率を用いた.預金変化率は不良業種貸出比率にプラスの影響を与えており,預金市場は銀行に追い貸しの中止のインセンティブを与えている.しかし,経費率や不良債権比率にはマイナスの影響を与えており,預金市場はリストラや不良債権処理を促進していない.銀行が十分にリストラを行っている場合,経費率のさらなる削減は,不良業種への貸出を削減することよりも困難になる.日本の預金市場は,銀行が取り組みやすい追い貸しの中止に影響を与えているが,リストラや不良債権処理に影響を与えていない.日本の預金市場の影響力が強いという結論は得られなかった.
|
Research Products
(2 results)