2009 Fiscal Year Annual Research Report
金融知識の習得が確定拠出年金加入者の金融資産選択行動に与える影響
Project/Area Number |
21730257
|
Research Institution | Prefectural University of Hiroshima |
Principal Investigator |
村上 恵子 Prefectural University of Hiroshima, 経営情報学部, 准教授 (90325142)
|
Keywords | 確定拠出年金 / 金融教育 / 金融資産選択行動 / 教育効果 |
Research Abstract |
本研究の目的は,金融知識の習得が金融資産選択行動に与える影響を,確定拠出年金加入者の金融資産選択データを用いて実証的に明らかにすることである。そこで,今年度は,まず確定拠出年金導入企業,運営管理機関等でヒアリングを実施し,確定拠出年金継続教育の内容および教育を実施する上での課題を分析した。その結果,予算上・人員上の制約により,継続教育が実施できない,あるいは実施できたとしても望ましいと考えるレベルの教育が提供できていない企業が多く,効果的かつ効率的な教育プログラムが強く求められていることが明らかとなった。 次に,金融教育の一環として統計的な知識の涵養に取り組むことが家計の金融資産選択行動に好ましい影響をもたらすか否かに関して分析を行った。分析にあたっては,(1)長期の運用にふさわしい資金配分を行っているか,(2)負担するリスクと期待できるリターンから見てより有利な金融資産が何であるか判断して保有しているか,(3)効率的なポートフォリオを構築しているのか,という点を検証した。分析の結果は,金融資産教育を行う際に,リスクとリターンの意味というような簡単な説明ではなく,初歩的であっても統計教育を組み入れて行うことにより,自己のリスク回避度に見合うより効率的な資産運用をできるようになる可能性があることを示唆するものであった。 以上のことから,今年度の研究成果の最大の意義および重要性は,統計知識の欠如もまた金融資産を選択する際に必要な知識を有していないということになり,金融教育のカリキュラムに統計知識に関する項目を加える方向での検討を行う必要があることを示唆したことにあると言える。
|