2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21730263
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
宮崎 智視 東洋大学, 経済学部, 准教授 (20410673)
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Keywords | 公共投資 / 地域経済 / 地方公共サービス / 財政政策 |
Research Abstract |
平成22年度は、研究テーマである公共投資と地域の景気変動との関連の研究を中心に、関連研究として固定資産税の経済効果の研究を進めた。併せて、財政改革が財政政策の維持可能性に与える影響について、OECDのいくつかの国を対象とした実証分析を行った。 まず、公共投資が地域の景気変動に与えた影響についての研究から説明する。ここでは、「裁量的な」公共投資が、県内総支出の各都道府県のボラティリティ(=経済成長率の標準偏差)に与える影響を計測することで、「裁量的な」公共投資が地域の景気の変動に与える影響を計測した。計量分析の結果、裁量的財政政策として執行された公共投資は、地域の景気変動を大きくさせることが示された。なお、同研究は、日本財政学会で報告された。 次に、固定資産税の「capital tax view」についての研究を進めた。この研究では、都市圏を中心とした一部府県ではNew Viewで想定される状況が確認されるものの、多くの地域では家屋への固定資産税は家屋ではなく土地に帰着するとの結果を得、むしろTraditional Viewに近い状況にあることが示唆された。同研究は、一橋大学の佐藤主光教授との共同研究であり、同大学の経済研究所のDPにまとめられ、現在投稿中である。 最後に、財政改革と財政政策の維持可能性の研究については、90年代半ばに「恒久的な」シーリングを導入したオーストラリアと スウェーデンを対象に、構造変化を考慮した共和分検定の手法を用いて、財政改革の結果、財政政策が維持可能になったのか否かを 検証した。両国とも、財政改革は有益であり、特にスウェーデンにとっては改革後に財政黒字を生み出すとの結果が得られた。同研究は、3度の国際学会で報告した。 上記のもの以外にも、前年度までの研究で「採択決定」であった論文2本が正式に公刊され、また1本が採択決定となった。
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