2009 Fiscal Year Annual Research Report
地域金融機関の再編が取引先企業に及ぼす影響の実証研究
Project/Area Number |
21730265
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Research Institution | Nanzan University |
Principal Investigator |
宮崎 浩伸 Nanzan University, 経済学部, 准教授 (70433521)
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Keywords | M&A / イベント・スタディ / 取引先企業 / 地域銀行 |
Research Abstract |
研究実施計画にあるように、平成21年度では、23年度から行う予定の計量分析のための事前調査を行った。具体的には、計量分析を行う上で必要となる先行研究の詳細なサーベイである。 主なサーベイ結果をまとめると、以下の通りである。 まず、Shin et al.[2003]では、イベントスタディの手法を用いて、1999年8月に発表された第一勧業銀行、富士銀行、日本興業銀行の3行による合併のケースを取り上げ、これによる取引先企業への影響を分析している。 また、海外における研究であるDegryse et al.[2005]では、ベルギーを対象に、銀行間合併が取引先企業に及ぼす影響を、買収銀行とターゲット銀行(被買収銀行)といった銀行サイドの区分だけでなく、借入企業サイドの区分も行った上で詳細な分析を行っている。 その他、渡辺・澤田[2002]では、日本のクロスセクション・データや銀行の統合前後の時系列的な変化を検証している。 上記のような先行研究をみても、わが国に関して、特に、地方銀行間での合併・提携が取引先企業に与える影響について集中的に分析した研究は、データ上の制約もあり、行われていないようである。このため、そこに本研究の学術的意義があると考えられる。 同時に、分析手法の計量分析についても、サーベイを行ってきたが、金融機関サイドの再編のレベルでランク付けした順序プロビットモデルを利用するなど、分析モデルもいくつか検討していきたいと考えている。 これらの成果を基に、次年度以降、データベースの作成、計量分析を行っていく予定である。
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