2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21730270
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
川地 啓介 Mie University, 人文学部, 講師 (40455069)
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Keywords | 公共財 |
Research Abstract |
本年度は、本研究の土台を構築するために関連する既存研究の整理を行うとともに、本研究を応用する形で下記の分析を行った。 地域間を課税ベースが移動可能な場合、地域間で課税ベースの獲得競争が起きる。このような状況を分析対象とする租税競争理論と公共財の自発的供給理論は、個別の理論体系を構築してきたが、近年、両者の垣根を越えた研究が行われている。本研究では公共財の源泉となる家計の拠出に関する仮定に着目しているが、この点を租税競争理論に応用し、公共財の源泉となる課税ベースへの課税方法について分析を行った。 地域間の資本移動に焦点を当てた租税競争理論に関する既存研究の多くは、各地域政府が資本へ従量税を課す経済を想定することが多く、従価税を想定した分析はあまりなされてこなかった。その理由の一つとして、地域数が十分に多い場合には、両税の理論的な違いが小さくなることがあげられる。しかしながら、Lockwood (2004)は、同質な地域を想定し、地域数が十分に少ない場合には、両税のもたらす経済学的な帰結に差異が生じ、従量税の方が社会的に望ましくなり得ることを示している。 これに対し、Eggert, Kawachi and Ogawa (2009)では、各地域の特性が経済主体の行動や厚生に及ぼす影響を考察するために地域間の異質性が明示的に想定され、資本への課税方法について分析が行われた。そして、より現実的な従価税の方が社会的に望ましくなり得ることが示された。この成果は、2009年6月に開催された日本応用経済学会春季大会において報告された。
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Research Products
(1 results)