2009 Fiscal Year Annual Research Report
資源産業における垂直統合モデルと水平統合モデルの競争:1960-1979年
Project/Area Number |
21730272
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
菅原 歩 Tohoku University, 大学院・経済学研究科, 准教授 (10374886)
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Keywords | 英連邦資源企業 / リオ・ティント社 / 鉄鉱石採掘 / オーストラリア |
Research Abstract |
初年度である平成21年度は、英連邦資源企業の事例であるリオ・ティント社に関する資料収集を行った。イギリスのリオ・ティント社文書室では、1960年代における同社によるオーストラリアの鉄鉱石分野への参入過程についての資料収集を行った。リオ・ティント社の鉄鉱石分野への参入は、オーストラリアが1938年に禁止した鉄鉱石輸出を1961年に解禁したことと、日本が戦前の鉄鉱石の供給元だった中国に替わる新たな供給国を探したことが結び付いて生じた。西オーストラリア州で行われたリオ・ティント社の鉄鉱石鉱山投資は、オーストラリアの資源大手企業であるBHP社やウェスタン・マイニング社との競争関係にあった。リオ・ティント社は1950年代にオーストラリアのウラン鉱山への投資も行っていたが、この場合は、現地企業との競争はなく、アメリカ企業との競争関係があった。同社文書室ではまた、1960年から1979年までのリオ・ティント社のアニュアル・レポートも収集し、当該期間の同社の経営の全体像の把握の準備も進めた。オーストラリア・西オーストラリア州の州公文書館では、リオ・ティント社のオーストラリア・鉄鉱石への投資について現地州政府の側についての資料収集を行った。当該資料からは、リオ・ティント社、西オーストラリア州政府、鉄鉱石の長期購入契約をリオ・ティント社やその他オーストラリア企業と結んだ日本の製鋼企業・商社と間の関係についての資料、またリオ・ティント社の資金調達に関する資料を得ることができた。以上の資料収集によって、リオ・ティント社の水平的拡大の端緒についての詳細な情報を得ることができ、英連邦資源企業の水平統合モデルの検討の準備を行うことができた。
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