2009 Fiscal Year Annual Research Report
ドイツとブレトンウッズ機関 -1950年代における流動性供給の実態-
Project/Area Number |
21730281
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Research Institution | Aichi Shukutoku University |
Principal Investigator |
石坂 綾子 Aichi Shukutoku University, ビジネス学部, 准教授 (40329834)
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Keywords | ドイツ連邦銀行 / ドイツ・マルク / 国際通貨基金(IMF) / 国際復興開発銀行(IBRD) / ブレトンウッズ機関 |
Research Abstract |
研究代表者・石坂は,研究実施期間(3年間)の初年度にあたり,ブレトンウッズ機関,すなわち国際通貨基金(IMF)・国際復興開発銀行(IBRD)とドイツとの経済・金融的関連についての研究文献を通観した。その上でこれまでの研究成果と残された課題を抽出した。 本年度開始当初は,研究対象国であるドイツ所蔵の資料を収集する予定であった。しかし,これまでの研究成果を検討した結果,ブレトンウッズ機関によるドイツへの政策上の関与とその意図を明らかにするためには,最初にアメリカ合衆国・ワシントンDCでの資料調査を実施する方が合理的であると判断し,本年度はIMF資料室,国立文書館(National Archives and Records Administrations)において,1950年代のドイツと国際金融についての資料収集を実施した。 この資料調査の結果,ドイツは経常収支黒字による金・ドル準備の累積から,1957年にIMFから資本輸出を求められ,この資本輸出が世界経済のバランスのとれた成長に大きく貢献すると期待された。結果として,これ以降,ドイツの公的資本輸出が促進され,国際的資金の流れの中に深く組み込まれた。この公的資本輸出は,主としてIMFとIBRDを通じて,1) イングランド銀行に戦後債務の期前返済のために為替等別口座を開設,2) ドイツ連邦銀行からIBRDへの短期・中期貸付(1億7,500万ドル),3) IBRD出資金マルク18%の解除という3つの方法で実施された。 以上の実証研究を経て,初年度の研究計画は,おおむね当初の予定通りに達成された。第2年度以降はIBRDへの出資金18%解除問題を中心に,IBRDの業務や為替ポジションにどのような影響を与えたのか,より具体的な実証研究を進めていく予定である。
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