2009 Fiscal Year Annual Research Report
アジアにおける国際金本位制の成立と近代銀市場の担った役割について
Project/Area Number |
21730283
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Research Institution | Matsuyama University |
Principal Investigator |
西村 雄志 Matsuyama University, 経済学部, 准教授 (10412420)
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Keywords | ロンドン銀市場 / 金銀比価 / アジア間貿易 / 横浜正金銀行 / 香港上海銀行 / ロスチャイルド / イングランド銀行 / インド省 |
Research Abstract |
平成21年度は、近代銀市場の機能について、3つの課題を設定して取り組んだ。第1の課題としては、日本国内にある資料の所在確認と収集に努めた。第一次世界大戦前から両大戦間期の日本は、三井物産をはじめとする商社が直接進出して対外貿易の拡大に貢献した。その際アジア各地で主要通貨として使用されていた銀の動向には特に注意を払って調査した。横浜正金銀行の資料とともに、平成21年度は多角的に検討するように試みた。しかし実際のところは資料収集の段階であり、平成22年度はより精緻に分析したい。第2の課題としては、国際銀行のアジア各地の支店に関する資料を収集した。平成21年度は香港上海銀行が各支店に派遣した調査員報告書、残存している支店の元帳を収集し、当時の国際銀行の業務展開とそれに伴う銀との関係を検討した。現在、バンコック支店の元帳と調査員報告書を使いつつ論文を執筆している。他の支店に関しても、貿易統計や政府刊行物の資料を加味しつつ、アジアにおける銀取引にどのように国際銀行が関与していたのか、その一端を描く予定である。第3の課題としては、ロンドンで実際に貴金属取引を行っていたロスチャイルドやイングランド銀行のアーカイブスで、実際にロンドン銀市場で活躍していたプレイヤーの資料収集を挙げた。ロスチャイルドの資料は有益であることは確認されたが、膨大な冊子数に加えて、複写やカメラ撮影ができないため、長期の資料収集の時間が必要となる。それゆえ平成22年度も継続して取り組む予定にしている。イングランド銀行に関しては幾つか収集しているが、インド省との関係を含め、まだ不十分なところもあるので、こちらも継続して資料収集に取り組むつもりである。以上、平成21年度は3つの課題を挙げて取り組んだ。いずれも資料収集がメインであったため、平成22年度はその資料を基礎として、論文として纏める作業を開始するつもりである。
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