Research Abstract |
本研究は,近世長崎貿易の再検討を行うものである。この際国際分業の視点を重視して,日本経済を,アジア経済,さらには世界経済のなかに位置づけることを企図している。とくに,本研究では18世紀を中心とした時期に生じたアジア経済や世界経済の変化が,日本経済にどのような変容をもたらしたかを,長崎貿易というレンズを通じて考察する。換言すれば,貿易統計史料の駆使による,近世日本を中心に見た国際分業の把握ということになる。なお,本研究は,史料としては,主として,従来あまり利用されてこなかったオランダ東インド会社文書を駆使する。本年度は,オランダ東インド会社文書利用して,日本貿易に関する様々な貿易統計データを入手し,加工のうえ,数量的分析を行うことを第一の目的とした。なお,オランダ東インド会社文書にアクセスし,データを収集するために,オランダに渡航し,デン・ハーグ市にあるオランダ国立公文書館等を訪問した。史料を調査し,直接,データを手に入れたほか,複製マイクロフィルムを発注・購入するなど,日本国内でのデータの収集も実施可能なようにした。 成果としては,貿易統計の集計により,次年度以降の研究の手掛かりを得るにいたったほか,積極的に,学会や研究会での報告.ならびに論文の公表を行った。本研究に関連ずる公表済み成果論文は4件(日本語2件,英語2件)である。また,口頭報告は12件(日本語5件,英語7件)であり,おおかた好評をもって迎えられ,今後の研究のための有益なコメントを得ることができた。
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