2011 Fiscal Year Annual Research Report
障害マネジメント戦略のモデル構築に関する理論的研究
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21730286
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
高浦 康有 東北大学, 大学院・経済学研究科, 准教授 (00340216)
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Keywords | 中途障害者 / 障害管理(disability management) / 米国ADA法(Americans with Disabilities Act) / 合理的な配慮(reasonable accommodation) / 障害者の雇用差別 / 多様性マネジメント(diversity management) |
Research Abstract |
本研究「障害マネジメント戦略のモデル構築に関する理論的研究」では、障害マネジメント(disability management)の概念にもとづき、日本企業のCSR(社会的責任)施策として展開可能な、障害者雇用を全社的に促進する戦略モデルの構築を理論的に行うことを目的としている。基盤概念を探る観点から本年度は、2nd Annual National Disability Summit 2011(オーストラリアの障害者施策に関する実務家会議、メルボルン、9.15-16)に参加し、オーストラリア国内の障害マネジメントに関する政策動向、英国やニュージーランド等における障害マネジメント・プログラムの導入・実践について最新の情報を得ることができ、環太平洋圏の実務動向を比較対象として、当該研究諌題に資する結果となった。さらに研究成果発表として、日本経営学会第85回大会において自由論題「障害マネジメントの多様性マネジメントへの戦略的包摂:障害者の在宅就労支援をケースとして」を報告し、これまでの障害者の在宅就労支援をケースとして取り上げ、国内IT系企業における障害マネジメントの具体的な展開過程について、多様性マネジメント(diversity management)と関連付けながら批判的に検討した。その結果、国内の産業界において障害マネジメントは、その戦略的価値の観点から、多様性マネジメント(とくに女性従業員の両立支援等)に包摂され枠組みを同じくすることで社内での導入と拡充が容易になる反面、そうした状況は障害マネジメントにとって、多様性マネジメントに向けられる批判-個別主義的で、社会的弱者への差別構造を根本から解消するに至らないといろたもの-を、受け継ぐ可能性があることを指摘した。なお当報告内容は、来年度の日本経営学会編『経営学論集第82集』千倉書房(未刊)に掲載予定である。
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Research Products
(2 results)