2011 Fiscal Year Annual Research Report
オーフォンドラッグ市場の発展に必要なベンチャー企業人財に関する考察
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21730288
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
西村 由希子 東京大学, 先端科学技術研究センター, 助教 (00361676)
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Keywords | 希少疾病用医薬品 / (大学発)ベンチャー企業 / 人材 / 患者 / 新薬承認プロセス / 国際連携 |
Research Abstract |
研究全体の目的は、大学等における希少性疾病関連分野の研究を発展させ、国内における希少疾病用医薬品(オーファンドラッグ)の新規市場を創出し、それを発展・定着させることである。本研究では、その中でも、当該分野における人財(知財[知的な財産]と対になる言葉として人財[人という財産]という言葉を用いる)に焦点をあて、市場創出および発展に必要であろう様々な人財像を明らかにした上で、それらの人財に必要な知識提供手法、および助成の在り方を検討し、当該研究分野及び市場の更なる活性化に関する政策提言を担当府省に対し行っていく。 平成23年度は、患者の視点からみた医薬品市場への期待に関する調査、および関係府省に関する政策提言を実施することをおこなった。患者の視点からみた市場期待調査については、患者会主催で開催された難病慢性疾患フォーラム時に実施したが、前提条件として、患者は創薬開発に関する知識が不足していることが判明した。そのため、創薬開発に限らない患者の生の声を集め、その過程において創薬開発知識を付ける手法を探ることを目的としたアンケート調査を実施し、ウェブサイトにて公開した。現在までに100をこえるデータを得ることができ、それらの結果をもとに、関係セクターの連携の在り方を検討するに至った。 また、関係府省に関する政策提言については、PMDA、国立保健医療科学院、厚生労働省に対し、複数の提言を実施した。欧米市場との連携に関しては、平成24年2月に開催される国際会議にて、本分野では初めての3極会議を実現させるに至っている。厚生労働省に対しては、厚生科学審議会疾病対策部会難病対策委員会にて参考人発表を行い、従来の医師-患者間コミュニケーションにとどまらない、希少疾患に関わる国内外関係者(患者・医師・大学・企業・行政・NPOら)が密接に関わるコミュニティーの形成の重要性を主張した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
国内外関係セクターの連携については、ワークショップ開催やヒアリング調査、各種学会発表・提言によって、研究開始年と比較するとかなりの進捗がある。また、患者に対する理解促進活動についても、全国各地にてワークショップを開催したことで、市場への理解を深めることに成功した。一方で、一部関係者の理解が不足していることが判明したため、基礎知識の共有に時間がかかり、患者から市場に対する提言を満足にまとめることはできず、今後の課題とする。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、まず患者側の実態調査を実施し、市場に対する一層の理解を深める。また、当該分野における製薬企業-府省連携を、国内外関係者を巻き込んで実施していく。本研究活動の一部は、平成24年2月に開催される国際会議(ICORD)にて実を結ぶことになるが、その後も継続した議論が実施できるよう、さらなる仕掛けが必要であろう。また、関係者への一層の情報提供を目指すためには、論文発表といった学術活動ではなく、社会実装活動のような関係者に直接訴えかける活動を一層促進させる必要がある。そのため、今後もワークショップ等を開催する予定である。海外に対しても積極的に働きかけていく。
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Research Products
(2 results)