2009 Fiscal Year Annual Research Report
日本版LLP・LLCを活用した大学発ベンチャーの創出
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21730289
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
松野 将宏 The University of Tokyo, 大学院・情報学環, 特任助教 (00386666)
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Keywords | 産学官連携 / 大学発ベンチャー |
Research Abstract |
我が国では、2005年より日本版LLP(有限責任事業組合)制度が、2006年より日本版LLC(合同会社)制度がスタートし、パートナーシップ型の共同事業化による創業促進や、新産業等の創造的連携事業を促進している。設立が比較的簡便で、かつ、柔軟な組織制度の活用により、産学官連携等の組織横断的イノベーションの促進が期待されている。本研究では、両制度の活用法として産学連携の促進に着眼した。特に本年度は、大学発ベンチャーの創出について、LLCの活用実態調査を行った。 産学連携における不確実性マネジメントに及ぼす影響を検証するために、LLCを活用した大学発ベンチャーの先行事例を調査対象とした。調査は、筆者が行ったインタビューによる聞き取りを中心に、調査対象者から提供された各種資料と関連公表資料、開発現場の視察等を行った。 調査の結果として、第一に、LLC設立以前に、研究開発コンソーシアムの設立による直接的・間接的な技術不確実性への対処効果が見られた。LLCを活用した産学連携においても、関係性構築が重要であることが間接効果として指摘された。第二に、LLCで共同研究開発をする際に、技術的課題が明確で特定的であるほど、実用化が促進されることが分かった。産学間での技術・知識の相互活用においては、産業分野による技術不確実性の違いを考慮すべきことが確認された。第三に、事業化の際には、連携企業のキャパシティを考慮して知財戦略を多様化することが事業化促進に寄与することが明らかにされた。最後に、産学連携においてLLCのように柔軟で可逆的な組織形態を活用することは、リスクマネジメントの観点からも有効であることが、リアル・オプション理論からも検討された。
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Research Products
(1 results)