2010 Fiscal Year Annual Research Report
日本版LLP・LLCを活用した大学発ベンチャーの創出
Project/Area Number |
21730289
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
松野 将宏 横浜市立大学, 国際総合科学部, 准教授 (00386666)
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Keywords | ベンチャー企業 / 産学連携 / 大学発ベンチャー |
Research Abstract |
LLPやLLCのような柔軟な組織制度が大学発ベンチャーの創出に及ぼす影響について、不確実性マネジメントの視点から、戦略的に運携組織のガバナンス形態を選択したり、柔軟に組織進化したりすることにより産学連携が促進されることを検証した。 前年度の事例調査を踏まえて、先行研究の分析、調査結果の分析と考察を行った。基礎資料および調査資料より、比較対象として対照的な2社を選び比較事例分析を行った。 先行研究の検討の結果として、第一に、組織横断的な技術・知識の交換、資源・能力の蓄積が研究開発パフォーマンスに影響を及ぼす。第二に、社内外の知財活用やVCとの連携における柔軟性が事業化パフォーマンスに影響を及ぼす。以上を踏まえて、研究開発コンソーシアム、共同研究開発、事業化戦略という3つのフェーズを設定し、LLCを活用した産学連携促進モデルを構築した。 次に、事例の比較分析の結果として、第一に、研究開発コンソーシアムにおいては、特に、産学間での長期的関係性構築という効果が確認された。第二に、共同研究開発では、産業分野により技術・知識の相互作用効果が異なることが示された。第三に、連携企業のキャパシティや不確実性の違いにより、事業化戦略が異なることが指摘された。第四に、LLCをオプションと位置づけて、柔軟に組織進化していくことにより不確実性をマネジメントする可能性について検討された。 最後に、本研究の理論的含意として、技術と市場の不確実性を効果的にマネジメントし、イノベーションを促進する要因を明らかにしてきた。実践的含意としては、LLCのような柔軟な組織制度を、産学連携における組織選択のオプションとして活用する、という考え方を提示した。課題と今後の展開としては、引き続きフォロー調査が必要であることと、多くの事例データを比較検討し分析枠組の信頼性を高めていく必要がある。
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