2010 Fiscal Year Annual Research Report
高機能広汎性発達障害者の特性を活かす組織のデザイン
Project/Area Number |
21730294
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
吉永 崇史 富山大学, 学生支援センター, 特命准教授 (40467121)
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Keywords | 発達障害 / 知識経営 |
Research Abstract |
本研究の目的は、高機能広汎性発達障害者(以下、当事者)が自らの特性を活かし、組織的な知識創造活動に参画しうる経営組織モデルを構築することである。当該年度においては、経営組織モデルの構築に不可欠な、当事者の特性に合わせたコンテクストの可視化と、当事者・非当事者間の効果的なインタラクションを明らかにするために、自閉症スペクトラム当事者へのインタビュー調査(計5回)を行った。さらに、富山大学の発達障害学生支援の取り組みについて、知識経営の観点から分析を行った。 インタビュー調査の結果からは、当事者が所属組織における知識創造活動に参画するための条件として、以下の5点が明らかになった。1)当事者一人ひとりの特性に合った業務目標と、それを達成するためのタスクを開発すること。2)マネジャーが当事者の対人関係やコミュニケーション上のサポートを行うこと。3)当事者が仕事を通じて業務目標と内容を理解するための振返りを促進すること。4)目標の再設定と業務内容改善について、マネジャーと当事者が協同して取り組むこと。5)マネジャーをサポートするための仕組みを組織に備えること。 富山大学の発達障害学生支援の分析からは、以下の3点が明らかになった。1)組織内に当事者とマネジャーを含む支援チームの形成とそのマネジメントを実施すること。2)高信頼性組織(Weick and Suticliffe, 2001)を志向し、当事者とのコミュニケーションや対人関係における不測の事態に対するマネジメントを行うこと。3)当事者に対する合理的配慮は、(1)本人の語りを尊重するナラティブ・アプローチに基づくアセスメント、(2)当事者と周囲の視点をつなぎ、双方が納得できる配慮を探るためのコーディネーション、(3)合理的配慮の実行と評価、のプロセスによって探究し、表出化すること。 次年度は、上記の成果を基に、当事者にやさしい経営組織モデルの理論的枠組み構築を目指していく。
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Research Products
(4 results)