2011 Fiscal Year Annual Research Report
高機能広汎性発達障害者の特性を活かす組織のデザイン
Project/Area Number |
21730294
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
吉永 崇史 富山大学, 学生支援センター, 特命准教授 (40467121)
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Keywords | 発達障害 / 知識経営 |
Research Abstract |
本研究の目的は、高機能広汎性発達障害者(以下、当事者)が自らの特性を活かし、組織的な知識創造活動に参画しうる経営組織モデルを構築することである。当該年度においては、当事者の特性に合わせたコンテクストの可視化と、当事者・非当事者間の効果的なインタラクションを明らかにするために、当事者、当事者のマネジャー、人事担当者を対象とした対話型インタビュー調査(7社,17名)を行った。さらに、組織内当事者支援チーム運営について、富山大学発達障害学生支援組織のアクション・リサーチを行った。 インタビュー調査では、当事者、マネジャー、人事担当者それぞれの立場からの働きかけが明らかになった。当事者は、主にテキストによる業務報告を必要に応じて心身状態も合わせて欠かさず行い、マネジャーによる業務進捗把握を容易にしていた。マネジャーは、コンテクストと当事者の特性に合わせた業務目標・内容・手順を探り、当事者との効果的なコミュニケーション手法を確立し、周囲との関係性にも気を配っていた。人事担当者は、必要に応じて当事者と周囲との調整を行っていた。その結果、当事者は安心して職務を遂行することができ、マネジャーや人事担当者は、当事者から厚い信頼を得ることの満足感や、より良い業務コミュニケーションの気づきを得ていた。当事者の特性や能力を活かすためには、3者それぞれの成長プロセスを促す仕組みが組織に内包される必要がある。 富山大学でのアクション・リサーチからは、組織内当事者支援チームを効果的にマネジメントするための3つの要因が明らかになった。1)当事者との共生社会のビジョンを描き、それを実現するためのミッションおよび駆動目標を明示化し、支援実践ポリシーを公開する、2)他部署との積極的な連携と協同のために、支援チームが組織内境界を越えたコーディネートを実践する、3)支援チームの運営にイノベーションの仕組みを埋め込む。
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