Research Abstract |
情報化社会の現在では,経営環境の大きな変化や情報技術(IT : Information Technology)の急速な発展が企業のビジネスプロセスのあり方に大きな影響を及ぼしている。このような背景において,ビジネスプロセスのマネジメントは企業の持続的な競争優位を保つための鍵になりつつある。企業がビジネスプロセスの再構築・最適化を図る際には,ITを戦略的に活用した情報システムを導入することが1つの重要な手段となっている。 これまで,IT・情報システムの導入効果の定量的な分析は困難であるとされてきた。この問題を解決するために,本研究では,実際の企業を対象に,IT・情報システムの開発と導入におけるマネジメントの諸問題を取り上げる。そして,IT・情報システムが業務パフォーマンスに与える影響を定量的に評価・予測するために,シミュレーションの活用の可能性を研究・提唱する。 平成21年度においては,まず,最初の三ヶ月をかけて,ビジネスプロセスと,ビジネスプロセスシミュレーション(BPS),およびほかの関連分野に関わる先行研究をじっくりとサーベイしてきた。次に,夏季休業を利用して,対象企業を調査し,現状(AS-IS)のBPSモデルを構築した。現状に対する分析の結果に基づき,IT・情報システム導入後(TO-BE)のBPSモデルを構築し,改善案について分析・提案した。本研究では,コンピュータベースのシミュレーション技法(BPS)を導入することで,IT・情報システムを導入した後の効果を前もって定量的かっ可視化して予測・分析することが可能となった。研究の結果を5つの論文にそれぞれまとめて,学会や国際シンポジウムの場で発表し,評価された。
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