2009 Fiscal Year Annual Research Report
経営学における効率性・市場・技術概念の理論的・経験的検討:制度派組織論の視点から
Project/Area Number |
21730299
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
松嶋 登 Kobe University, 経営学研究科, 准教授 (10347263)
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Keywords | 制度 / マネジメント / 戦略 / IT経営力 |
Research Abstract |
本年度は、当初の研究計画に照らして(1)理論的検討と(2)経験的事象の観察の二点について、以下の研究成果が生み出された。 まず、(1)理論的検討に関しては、制度派組織論における古典的研究の再評価を『神戸大学大学院経営学研究科ディスカッション・ペーパー』で丁寧に議論し、それをもとにしたレビュー論文が『組織科学』で公刊され、また『経営学史学会年報』においても採択され、近日中に掲載される予定である(現在校正中)。また、包括的な理論レビューだけではなく、このレビューを通じてより焦点を絞り込んだ研究成果も生み出された。これについては、以下(2)の経験的研究で改めて触れる。 次に、(2)経験的研究については、当初の計画通りに、まずオンライン証券業界における企業の戦略を、SBI証券の事例を通じて検討することができた。さらに、上述のようにレビュー論文を通じて、これまで行ってきた経験的研究を振り返ることで、当初は計画に入れていなかった研究成果も生まれた。具体的には、企業家研究の方法論的課題とともに、ナラティブ・アプローチの可能性を取り入れた経験的研究を『国民経済雑誌』で発表し、さらに、社会運動論の理論的知見を基にした経験的研究を、現在『日本経営学会誌』へ投稿し、査読を受けている。 さらに、本年度は、新たな経験的研究にも着手してきた。ひとつは、企業の競争力を具体的に測定するための方法論の整備であり、日本情報処理協会が主催するIT経営力の測定プロジェクトを通じて様々な知見を得た。また、シャープの緊急プロジェクト制度に関するインテンシブな調査機会にも恵まれ、継続的に調査を続けてきた。来年度以降は、これらの新たに着手した経験的研究の成果を発表していく予定である。
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