2009 Fiscal Year Annual Research Report
企業内労働市場の変容とその規定要因に関する国際比較
Project/Area Number |
21730302
|
Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
西村 孝史 徳島大学, 大学院・ソシオ・アーツ・アンド・サイエンス研究部, 准教授 (40508462)
|
Keywords | 企業内労働市場 / 雇用区分 / 人材マネジメント / 転換制度 / ソーシャル・キャピタル / 比較対象 / 公正性 / 人材ポートフォリオ |
Research Abstract |
平成22年度は,アンケート調査の立案から実査までを実施した。この調査は,企業内労働市場の変容を働く人の立場から実態的に捉えることを目的としている。本研究の大きな仮説は,働く人々の処遇満足度や教育訓練満足度が雇用区分に応じて変わる点である。例えば,転換制度の有無は,自らの処遇について「誰と」比較するのかに影響を与えることが予想される。すなわち,転換制度がない雇用区分にいる社員は,自分の同僚や自分と同じ雇用形態の者を比較の対象にするが,転換制度のある雇用区分にいる社員は,転換先の社員も比較対象にする可能性があり,その意味で処遇満足度や教育訓練の満足度に差異が生じる可能性がある。また,どのようなタイプの転換制度を企業が設定しているかによっても社員が「何を」比較するのか変わる可能性がある。 データは,インターネット調査を用いて1600名を収集した。年齢は25歳から65歳であり,同じ企業に3年以上勤続している社員を設定した。男女比は50%ずつになるようにコントロールし,正社員と非正社員の比率は,実態に即して正社員70%,非正社員30%で設定した。 さらに,本調査では,雇用区分に応じて2種類の変数を含めている。1つは,ソーシャル・キャピタル変数である。ソーシャル・キャピタルは,組織内の関係性を示す概念であり,雇用区分が明確に設定されていても,ソーシャル・キャピタルが発達している職場では,雇用区分による区分け意識は生じにくいことが予想される。もう1つは,外資系企業変数である。外資系企業と日本企業とでは,人事管理方針が異なる可能性があり,こうした企業の違いが雇用区分の設計や区分意識に与える影響を検討することができる。 今年度は,アンケートの実施までが目的であったため,最終年度では,これらの問題意識を検討する作業に入り,成果を論文や学会発表を通じて公表していく予定である。
|