2010 Fiscal Year Annual Research Report
企業間の知識マネジメント:自動車エレクトロニクス技術の開発分業
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21730305
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
朱 穎 九州大学, 経済学研究院, 准教授 (50334610)
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Keywords | 企業間分業 / 知識マネジメント / グリーン・イノベーション / 非連続的イノベーション / 自動車技術の電動化 |
Research Abstract |
本年度は主にグリーン・イノベーションを分析するための枠組みを構築するため、二つの作業を行った。まず、技術革新のタイムラグがなぜ発生するのかという問題意識から自動車エレクトロニクス技術の開発を再考した。技術革新の段階説によれば、基礎研究から技術の実用化までには長いタイムラグが存在し、要素技術の進歩はこうしたタイムラグの解消には重要であると論じられている。本年度の研究では、自動車の電動化技術におけるこうしたタイムラグの問題を解明することを念頭に、自動車の周辺分野で起こる技術革新と、それに対する既存プレーヤーの対応に焦点を当て、異なる産業間における知識のスピールオーバー、さらに既存企業による戦略的行動は、技術革新のタイミングを促進する可能性があると考察した。 さらに、自動車技術の電動化が企業能力に与えるインパクトについて、非連続的イノベーションの文脈から考察した。既存企業が新規技術に対応できる原因について、組織ルーティンと経営資源の依存性という既存研究に加えて、マネジメント認識という認識フレームの重要性に注目した。さらに、イノベーションの非連続性という文脈から企業能力の重要性を考える際に、経営資源の蓄積という従来のリソースベースト・ビューがもつ静態的観点ではなく、経営資源の「探索」活動と「活用」活動を両立できるような動態的観点が重要であると考察した。
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Research Products
(3 results)