2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21730317
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
寺畑 正英 Toyo University, 経営学部, 准教授 (20328644)
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Keywords | 人的資源管理 / 人事制度 / 普及プロセス |
Research Abstract |
平成21年度は、大きく分けて二つの作業を行った。第一に、人的資源管理に関する文献をサーベイすることによって、これまでの人的資源管理の領域で議論されてきた人事制度に関して、その概要を整理し、それらが生成された経緯や普及プロセスに関する歴史的展開を考察した。具体的には職能資格制度と目標管理、360度評価に関する生成過程と日本企業への普及プロセスに関して注目した。これらの制度に関しては、生成当初に意図された目的に基づいて制度設計されているが、企業に普及するプロセスで、意図とは異なる活用をされている例が散見された。そのような事例には二つのパターンがある。第一に、それらの新しい人事制度を採用する合理的根拠がないにも関わらず、企業が採用しているという例である。もう一つは、それらの新しい人事制度の本来の目的が歪められ、弾力的に運用されている例である。2番目に行った作業は、分析の理論的フレームワークを構築することである。人事制度が多くの企業で採用されるプロセスを分析する際に、個々の企業の合理的行動を仮定して分析するだけでは十分な分析が出来ないと考えられる。それは先の事例でも指摘したように、必ずしも短期的に合理的とは言えないにも関わらず、それらの制度を採用する企業が存在するからである。そこで、有用な分析フレームワークとして制度化理論などがありうるため、それらの検討を行った。同型化圧力によって、類似の環境にある個体群は類似の制度を採用する可能性が高いことを指摘しているこの理論が、我々の研究に適用可能性が高いと考えられる。
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