2009 Fiscal Year Annual Research Report
近代日本と野村財閥の発展過程の研究――企業家精神と企業倫理――
Project/Area Number |
21730327
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Research Institution | Yamanashi Gakuin University |
Principal Investigator |
野村 千佳子 Yamanashi Gakuin University, 経営情報学部, 准教授 (90298133)
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Keywords | 企業倫理 / 企業の社会的責任CSR / 経営史 / 証券業 / 財閥 |
Research Abstract |
明治・大正期、証券市場や証券業界が発展途上の時代であり、投機的色彩が強く、証券業者の中には自己の利益を追求して呑行為、買占め、乗っ取り、早耳(インサイダー取引)等、当時のグレーな取引を行う者もおり、証券業者は株屋、相場師といわれ、社会的評価が低かった。明治38年以降、株式現物問屋、野村徳七商店ではマーケティング、人材の活用、組織など様々な面で改革を行い、成功を収めたが、その内容は近代化であるとともに、当時社会的評価の低かった証券業者の倫理性の向上であった。 大正6年の個人商店から企業への改組、近代的金融業者を目指しての銀行等の企業設立、財閥化といった事業規模の拡大の過程において、野村徳七はその企業家精神の実現に向けて、倫理的問題にいかに対処し、両立させていったのか。持株会社の社長となり、第一千から離れ、専門経営者による経営に移行する中、経営理念や企業倫理を共有し、実践させてきたか、戦前の野村系企業の実態等について研究を行った。 また、野村財閥において金融業と並びもう一つの特徴である海外事業(大正6年野村南洋事業部設立)のうち2件について、その実態や企業倫理・CSRについて調査を行った。 1、野村財閥が出資していたニューカレドニアのゴロ鉱山(ヌベル・カレドニー鉱業株式会社、現地法人ソシエテ・ル・フェル、昭和12年~15年操業)の現地調査、史料収集。 2、ブラジル野村農場(大正14年設立、パラナ州バンデイランテス、現在に至る)を訪問し、コーヒー農場で働いていた日系移民のインタビュー調査、史料収集を行った。 今日、企業の永続性や持続的発展に不可欠と認識されるようになった企業倫理、CSRが企業家精神とともに、近代日本の社会環境の下、野村財閥の事業発展過程において推進力となったかを明らかにするべく、引き続き研究を行っていく。
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Research Products
(2 results)