2011 Fiscal Year Annual Research Report
産業間における競争的相互作用を通じた経営資源の蓄積と利用のダイナミクス
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21730329
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Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
藤原 雅俊 京都産業大学, 経営学部, 准教授 (20411019)
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Keywords | 産業間相互作用 / 経営戦略 / 経営資源 / 事務機器 / 不均衡メカニズム / 技術 / 製品開発 / イノベーション |
Research Abstract |
平成23年度に実現した研究成果は大きく以下の3点がある。 第一に、論文および書籍の執筆である。論文では、インクジェット・プリンターの動向に注目し、本体と消耗品の動態的な関係性と相互作用プロセスを分析した(「デンマーク:先進国で見る消耗品ビジネスモデルの陰り」『赤門マネジメントレビュー』10巻7号)。また、海水淡水化を担う逆浸透膜の技術開発動向を分析し、逆浸透膜開発が半導体産業の発展と密接な関係を持っていたことを明らかにし、その産業間相互作用プロセスを記録した(「東レ:逆浸透膜事業の創造プロセス」『一橋ビジネスレビュー』東洋経済新報社、第59巻1号、pp.118-135)。書籍では、デジタル化を通じて事務機器産業の各種機器が統合されていくプロセスを明らかにした(『ICTイノベーションの変革分析:産業・企業・消費者行動との相互展開』)。 第二に、学会発表を通じて、本研究を深化させた。国内では日本経営学会で「消耗品ビジネスモデルの落とし穴:プリンターは何故これほどまでサードパーティに浸食されているのか」という題目で研究報告を行い、海外ではAPROSにおいてInnovation Processes in Big Incumbentsという題目で研究報告を行った。これらの研究報告では、数多くの有益なコメントや助言を受け取ることができたため、これまでの研究内容を振り返るとともに、今後の課題が明確になった。 第三に、企業への取材を重ねた。具体的には、事務機器産業のみならず、衣料用合成洗剤産業や、鋳造産業などにも対象を広げ、各種製品開発者や意思決定者を対象として取材をした。このなかで、鋳造業界では、鋳造機械産業やエレクトロニクス産業、自動車産業など幅広い産業との相互作用を通じながら、産業発展を果たしてきたことが明らかとされた。今後の研究内容に反映されるべき重要な知見がここから得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績として、ここまで研究論文および書籍を発表できてきたため、おおむね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究課題の推進方策であるが、平成24年度が最終年度にあたるため、本研究課題に沿った研究論文及び書籍を発刊するべく、執筆活動に専念することを考えている。もちろん、必要に応じて付随的に取材も行う。
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Research Products
(9 results)