2009 Fiscal Year Annual Research Report
日本における病院版コーポレート・ガバナンス論の確立
Project/Area Number |
21730330
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
小島 愛 Ritsumeikan University, 経営学部, 助教 (80513192)
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Keywords | 病院経営 / 非営利組織 / コーポレート・ガバナンス / トップ・マネジメント / パフォーマンス |
Research Abstract |
本研究は、経営学的アプローチから、患者本位の病院経営を目指している。平成21年度には、公益性・非営利性のある分野のコーポレート・ガバナンス論に関する研究を行うために、具体的に、イギリスのバークシャー地方の病院においてコーポレート・ガバナンスに関するインタビュー調査を実施した。このインタビュー調査により、有益な知見が新たに得られたため、文献研究を進めている。この前後に論文などをまとめている。 今日までのコーポレート・ガバナンスの研究は、先進国の大規模株式会社を対象とする傾向にあり、実際には市場経済移行国や発展途上国、および非上場企業や中小企業といったように、公益性・非営利性の顕著な組織で注目されていることが理解されない状況にあった。とりわけ、日本では、病院において、医療事故の頻発や経営の悪化などの深刻な問題が山積しているにもかかわらず、病院のもつ非営利性を理由として、コーポレート・ガバナンスの機能を導入することが敬遠されてきた。そのため、本研究は、非営利の分野にコーポレート・ガバナンスを適用するという意義や重要性を持ちあわせる一方、大規模株式会社と比較して、いかなるコーポレート・ガバナンスが必要視されているのか、といった問題意識をたえず持ちながら研究を進める必要がある。今後は、非営利組織や公企業などが社会から期待されている役割や、それを担う経営者が持つべき機能、ボランティアなど構成員の明確な位置づけなどを明らかにしながら、病院経営におけるコーポレート・ガバナンスの構築を試みたい。
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Research Products
(2 results)