2011 Fiscal Year Annual Research Report
人材活用施策と企業価値・企業業績の関係に関する理論的・実証的研究
Project/Area Number |
21730333
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Research Institution | Osaka University of Economics |
Principal Investigator |
清水 一 大阪経済大学, 経営情報学部, 講師 (50368841)
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Keywords | 従業員の処遇 / 企業価値 |
Research Abstract |
平成23年度は,人材活用施策と企業価値・企業業績に関する実証分析を行った。先行研究から従業員の離職率が企業業績に影響を与えることが知られているので,その点を中心に分析を行った。まず,従業員の処遇(HRM施策)のうち,キャリア機会,労働時間の柔軟化,スキル向上の諸施策が離職率に与える影響を分析した。離職率は,自己都合(自発的離職),会社都合(非自発的離職),新卒離職(新入社員の3年後までの離職)の3つの観点で計測した。その結果,労働時間の柔軟化施策(フレックスタイム制の導入や,半日年休制度など)の導入水準が高いほど,自己都合や新卒の離職率は低くなることが確認された。また,有給休暇の取得日数もこれらの離職率にマイナスの相関があることが確認された。一方,会社都合による離職ではそのような関係はなかった。 以上の分析結果から,離職理由によって離職の要因が異なること,またその具体的な要因が明らかになった。また,従業員の離職率を引き下げるためには,有給休暇の取得のしやすさを中心とした労働時間の柔軟化が有効であることがわかった。先行研究においても,人的資源を体現している従業員の離職の増加は企業価値・企業業績にマイナスの影響を与えることが示されており,従業員の離職を抑制するための具体的な施策を明らかにすることには,大きな社会的意義があると考える。その意味において本研究でこれまでに得られた成果は意義深いと考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
理論的な分析の枠組みの再検討を行ったこと,データベースの構築に時間を要したものの,実際の分析作業に入り実証結果も蓄積されてきたため,おおむね順調であると評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
分析枠組み,データベースなどに時間がかかっていたが,それらの作業が終了し実際の分析作業に入ったので,平成24年度は論文・学会報告等を行い,成果を出すことができると考えている。
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