2010 Fiscal Year Annual Research Report
日系海外子会社における国際人材に関する研究‐本社の人的資源管理施策の視点より‐
Project/Area Number |
21730334
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
中村 志保 立命館大学, 経営学部, 准教授 (20389191)
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Keywords | 国際人的資源管理 / 多国籍企業 / 国際人材 / 日本企業 / 本社 / 人材育成 |
Research Abstract |
旧ソ連の崩壊、東ヨーロッパや中国の資本主義化に伴い、多国籍企業のグローバル活動の進展は著しい。このような中、日本企業の国際人材の捉え方が変化している。従来のように日本人のみを国際人材として捉えるのではなく、外国人をも国際人材として捉える企業が増えている。本研究では、多国籍企業の中枢である本社の人材戦略が人的資源管理施策の充実度を規定し、それが海外子会社における本国従業員、現地従業員、第三国籍従業員(現地から第三国へ派遣)の登用(特に管理職)に影響を及ぼすのではないかということについて検討を行った。 電子・電気系の日本の多国籍企業(大企業)を中心に複数企業のインタビュー調査を行い、事例研究としてまとめた。その結果、次のような知見が明らかになった。(1)これらの企業では、おおよそ海外派遣者の比率は低下しており、社長の現地化比率が高まっている傾向にある。また、本社への逆出向者や第三国籍従業員数が大幅に増加している。 (2)調査した企業のうち、こういった傾向が他社に比べて特に強い企業では次のような特徴がみられた。第一に、国際人材の捉え方が従来と異なり、日本人のみならず外国人を国際人材の範囲に含めている。第二に、これらの国際人材の育成を念頭においたさまざまな人材育成プラグラムを国内外において展開している。特に、海外子会社より社長、部長、次長、課長レベルの現地従業員を中心とした本社での研修プログラムを充実させている。近年(特に2006年以降より)では、上級、中級管理職のみならず係長や専門職の現地従業員も本社での逆出向や短期研修を受けているケースがみられる。
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