2009 Fiscal Year Annual Research Report
固有経営パラダイムの転換とアライアンス価値創造とのダイナミズム
Project/Area Number |
21730335
|
Research Institution | Kyushu International University |
Principal Investigator |
陳 韻如 Kyushu International University, 経済学部, 准教授 (00389404)
|
Keywords | 組織間関係 / ネットワーク分析 / パナソニック / 創生21 / 経営パラダイム / 取引関係 |
Research Abstract |
本研究は、主にパナソニックのパソコン技術の取得と固有経営パラダイムの転換との関係を事例として考察を行う。21年度の研究課題は、(1)データベース構築・分析の準備、(2)パナソニックの組織内部における経営パラダイムの再構築についての考察、の2つを中心に進めた。 (1) については、パナソニックのパソコン技術における提携相手からの学習効果を定量的な手法から分析するために、パソコン関連雑誌『ASC II』からパソコンメニカー各社の機種・規格などのデータを入手し、データベースの構築を始めた。なお、入手したデータの期間は1991年1月~1995年6月であった。 (2) の研究課題においては、パナソニックの経営パラダイムの転換を確認するために、社会ネットワーク分析という定量的な手法を用いて、同社グループ内外の連携形態が調整されたかどうかを分析した。同社は2001年に創生21改革を行い、この改革はパナソニックの組織形態や取引関係に大きな影響を与えた。そのため、創生21改革をパナソニックの経営パラダイムの転換点として捉え、改革前後を表す2002年と2005年のデータを中心に、同社グループと協力企業のネットワークに関するデータベースの構築をスタートした。分析に当たって、グラフ理論と、次数中心性・近接中心性・媒介中心性といった中心性指標を用いたことにより、パナソニックグループの取引関係の可視化と数量化をはかることができた。本研究では以下の点が明らかになった。第1に、パナソニックの2005年の取引ネットワークに含まれる企業数が2002年のそれに比べ少なかった。第2に、2005年のパナソニックグルニプと協力企業の次数中心性・近接中心性・媒介中心性の3つの指標が2002年より低かった。第3に、2005年の取引ネットワークにおけるパナソニックの次数中心性、(in-degree)が低くなったが、ネットワークにおけるパナソニック本社の相対的重要性は高くなった。第4に、改革後のパナソニックの取引ネットワークにおいて、部品・デバイスや、デジタルAVCネットワークなどのドメイン会社の重要性が高くたった、第5に、2005年め仕入先(out-degree)の次数中心性は2002年に比べ低くなった以上の発見をとに、パナソニックの取引関係の変化を明らかにしたうえで、同社がどのように組織改革によって内外の取引関係を再構築したのかを推論した。さらに今後同社の経営パラダイムの転換との関連性を精査する予定である。
|
Research Products
(4 results)