2010 Fiscal Year Annual Research Report
固有経営パラダイムの転換とアライアンス価値創造とのダイナミズム
Project/Area Number |
21730335
|
Research Institution | Shiga University |
Principal Investigator |
陳 韻如 滋賀大学, 経済学部, 准教授 (00389404)
|
Keywords | 経営学 / 組織間関係論 / アライアンス / 経営パラダイム / 社会ネットワーク分析 / パナソニック / パソコン / 戦略的集約化 |
Research Abstract |
本研究の目的は、主にパナソニックのパソコン技術の形成を事例とし、同社がアライアンスといった外部資源の活用によって、固有の経営パラダイムから転換を図りながら新たな競争優位を構築していくプロセスを分析することにある。平成22年度の研究計画としては、アライアンスに伴う資源内部化の成果の測定のためのデータベース構築・分析、パナソニックの取引関係に関するネットワーク分析、パナソニックの経営パラダイムの再構築への予備的考察などを挙げている。 当該年度の研究は、パナソニックの取引関係ネットワークの変化と経営パラダイムの転換との関係について考察を進めてきた。その結果として以下の点を指摘できる。第一に、パナソニックは2001年以降、グループ内部ネットワークの戦略的集約化を行ったことが明らかになった(Yousin Park and Yunju Chen, 2010)。それ以前は、内部調達は分散的であり、コア部品の外部調達も行われていたことが分かったため、従来の経営パラダイムはしばしばいわれるように垂直統合の構造だったのかどうかを今後改めて確認する必要がある。第二に、次数中心性による分析では、部品・デバイスや、デジタルAVCネットワークなどのドメイン会社の重要性が高くなったことから、パナソニック社内ではコア技術を中心とした部品の統合化が行われたと推測される。第三に、パナソニックの外部調達ネットワークには性質と量の変化が見られた。2005年の仕入先の次数中心性は2002年に比べ低くなり、仕入先の企業もモジュール部品から素材・材料メーカーに変わった。これは、パナソニックの部品生産の内部化とブラックボックス化を図ることといえる。 また、パナソニックの経営パラダイムの転換を通じて、従来の日本的経営が変化したかどうかという視点から、その意義の考察を試みた(朴・陳、2011)。
|