2009 Fiscal Year Annual Research Report
ベンチャー企業ネットワークにおけるコーディネーションと企業境界に関する研究
Project/Area Number |
21730344
|
Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
原 頼利 Meiji University, 商学部, 准教授 (30366900)
|
Keywords | 企業間ネットワーク / イノベーション / マーケティング / コーディネーション / 企業境界 |
Research Abstract |
本研究は、イノベーションを生み出す企業間ネットワークに関する理論的・実証的分析を目的としている。企業間ネットワークのあり様は、社会的ネットワーク分析における「紐帯の強さ」(tiestrength)や「中心性」(centrality)などの概念に基づいて特徴づけられることがあり、イノベーションに関する多くの研究は企業間ネットワークのあり様がイノベーションにどのような影響を与えるかという問題を取り扱ってきた。しかし、これまでの研究には理論的にも経験的にもいくつかの矛盾した主張がみられる。たとえば、弱い紐帯がイノベーションに対して正の影響を与えるという主張がある一方で、強い紐帯がイノベーションに対して正の影響を与えるという主張もある。 当該年度は、先行研究のサーベイを行ない、主張された仮説および問題点などの整理を行なった。また、企業(大企業と中小企業を含む)へのインタビューを行なった。調査の結果、強い紐帯を意味する長期的取引関係からイノベーションが生じる事例もあれば、弱い紐帯を意味する業界を超えたアドホックな取引関係からイノベーションが生じた事例もあった。この結果から、イノベーションの類型化を行ない、そのタイプごとにどのように企業間ネットワークのあり様が影響するのか調べる必要性があると考えた。つまり、企業間ネットワークのあり様はイノベーションのタイプごとに異なった仕方で影響するであろうという考えに至った。これらの研究の成果は、12月にウィーンで開催されたThe 17th Annual Conference on Marketing and Business Strategies for Central & Eastern Europeでの研究発表の一部に生かされている。
|