2011 Fiscal Year Annual Research Report
ベンチャー企業ネットワークにおけるコーディネーションと企業境界に関する研究
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21730344
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
原 頼利 明治大学, 商学部, 准教授 (30366900)
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Keywords | イノベーション / 企業間ネットワーク / 企業境界 / コーディネーション |
Research Abstract |
一昨年度に引き続きイノベーションを生み出す企業間ネットワークに関する理論的な検討とケース分析を行なった。本研究においては、ベンチャー企業を含む中小企業に焦点を当て、それぞれの企業が他社とのネットワークをどのように形成しているのか、またネットワーク形成の違いが各企業のイノベーションにどのような影響を与えるかについて調査を行なっている。いくつかの革新的な中小企業を調査する中で、それらの企業が特定の大企業との強い関係を維持するだけでなく、分野の異なる企業などとの弱い紐帯も重視していた。つまり、強い紐帯の凝集的なネットワークを維持しながら、一方で弱い紐帯の分散的なネットワークを形成するというネットワーク形成の方法をとっていた。このネットワーク形成は、本研究において、「両手利きのビジネス・ネットワーク」(ambidextrous business networks)と呼んでいる。 上述の研究成果については、昨年度、国際学会で発表している。国際学会で知り合ったイギリスの研究者たちが本研究と類似した研究を行なっており、本研究と同様に、革新的な中小企業において両手利きのビジネス・ネットワーク形成が見られたという結果を得ていた。彼らからはさまざまな助言ももらっている。紐帯の強さやネットワークの密度などどのように測定するのかという問題についても、意見を交わすことができた。昨年度は、海外の研究者とのネットワークづくりという点でも進展があった。 昨年度、4回の国際学会での発表(コンファレンス・ペーパーの執筆)、2冊の著書(共著)の執筆を行ったが、上述の研究成果はそれらに活かされている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画どおり、イノベーションと組織間関係に関する理論研究と実証研究を行なってきた。これらの研究成果については、国際学会で報告する機会をもった。国際学会での発表回数に関しては、予定した以上の成果をあげている。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、本研究の最終年度にあたる。当初の研究計画にしたがって、理論研究の比重を下げ、実証研究を中心に行なう予定である。実証研究の成果については、国際学会での報告だけでなく、当初の予定どおり、海外ジャーナルへの投稿を行ないたいと考えている。今のところ、研究計画の大きな変更はなく、研究を遂行する上での問題点はないと考えている。
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