2010 Fiscal Year Annual Research Report
交差文化的マーケティング・リサーチ方法論の理論的および実証的研究
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21730352
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
馬場 一 関西大学, 商学部, 准教授 (70351492)
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Keywords | 国際マーケティング・リサーチ / 文化の相互浸透 / 国際マーケティング |
Research Abstract |
本年度は日本および中国における比較調査を行った(それぞれn=300)。当該調査は大きく2つのパートに分かれる。第1は,消費者の所得水準と製品購買基準との関係に関する調査である。1ヶ月の可処分所得が3万円から10万円未満,10万円から17万円未満,17万円から24万円未満のとき価格,品質,ブランド,機能,デザインをどの程度,重要視するかを質問している.これらの質問は5品目(シャンプー,ジーンズ,パソコン,冷蔵庫)を購買する場合を想定して行っているこの調査により消費者が購買意思決定を行う際に所得上昇が与える影響を測定している。第2は日中における価値観の比較である。用いた尺度はRokeach's Value Survev(RVS),List of Values(LOV),そして,環境志向性に関する尺度である。この調査を通じて価値観や環境志向性の2国間比較が可能となる。これら2つの調査を組み合わせることで,文化の相互浸透に対して,所得や価値観が与える影響を分析した。当然ながらこれら調査は国際マーケティング・リサーチの方法論に基づいて行われている。 また,本年度は論文発表1件および学会報告1件を行っている。これらはいずれも本研究から得られた知見を発展的に応用して国際マーケティング環境における「動態性」の重要性を説いている。動態的な国際マーケティング研究を志向するためには新たな理論的用具(ダイナミック・ケイパビリティ,実践としての戦略,双面性)を用いることが求められる。とりわけ,ダイナミック・ケイパビリテイによる戦略の「プロセス研究」という視角,そして,実践としての戦略による分析単位としての「実践」を採用することで,本研究の理論的なロバストネスが高まっていくと考えられる。
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Research Products
(2 results)