2011 Fiscal Year Annual Research Report
成熟市場における新規参入ブランドの属性削減および属性価値低減の効果
Project/Area Number |
21730355
|
Research Institution | Aichi Gakuin University |
Principal Investigator |
秋本 昌士 愛知学院大学, 商学部, 准教授 (40367123)
|
Keywords | マーケティング / 消費者行動 / 市場参入 / 属性 / ブランド / 新製品 |
Research Abstract |
本研究の目的は、新規に市場導入されたブランドにおける属性削減および属性価値の低減の効果を明らかにすることである。属性削減とは、-例えば当初多種多様な属性の追加が見られた携帯電話市場において、近年、通話機能とメール機能以外の諸機能(既存属性)を排除した「シンプルな」機種が導入されているように-あるカテゴリーにおける既存属性が新規に市場導入されたブランドに付与されないことを指す。属性価値の低減とは、あるカテゴリーにおける既存属性の価値水準が新規のブランドにおいて低減していることを意味する。こういった現象は、成熟市場においてしばしば観察される現象であるが、マーケティング研究においてその効果が検証されたことはほとんどない。 本年度は、前年度までの研究成果のうち、特に理論的整理の結果をまとめ、書籍(秋本昌士(2012),『イノベーションの消費者行動』,成文堂)にて公表した。上記著作では、消費者情報処理パラダイムにもとづくイノベーション理解のための視座を提示し、新旧市場提供物間の「差異」の形式(例えば、属性削減による差異、便益低減による差異など)と消費者の相対的情報処理との関係について論じた。また、本年度、前年度の予備的実験の結果にもとづいて、仮説の再構築、およびその検証のための実験を行った。この実験では、「属性の重要性」、「既存の製品またはサービスの複雑性」といった変数が属性削減の効果に与える影響などを検証した。その成果については、今後、論文としてまとめ、学術誌などに投稿する予定である。
|