2009 Fiscal Year Annual Research Report
事象理論における「サイクル」の要素のモデル化とその財務報告への応用
Project/Area Number |
21730364
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
竹島 貞治 Kanazawa University, 経済学経営学系, 准教授 (50312533)
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Keywords | 事象理論 / 事象サイクル / 会計的記号 / 財務報告 / 会計モデル |
Research Abstract |
本年度は、a) サイクルの概念に関する関連文献のレビュー、b) AICPA [1973]のサイクルモデルの再分析、c) サイクルの要素に関するPro. G. H. Sorter、および、Pro. H. M. Maximonとのディスカッションを行い、課題[1]オペレーティング・サイクルモデル化、課題[2]インベスティング・サイクルのモデル化、課題[3]ファイナンスイング・サイクルのモデル化に取り組んだ。 その結果、オペレーティング・サイクル、インベスティング・サイクル、ファイナンスイング・サイクルをそれぞれ概念的なレベルでモデル化するとともに、これら3つの事象サイクルの概念と会計的記号(会計用語・会計数字)との間の関係を明らかにした。さらに、事象サイクルの概念を用いて現行会計モデルと事象理論モデルの特徴を描写し、両者の比較を行った。 事象サイクルモデルは、原型となるAICPA [1973]のサイクルモデルを大幅に改良・発展するものであり、利益稼得サイクルや資本サイクルなどの他のサイクルモデルと比較した場合、そこで使用される用語の厳密性と操作性において優れている。また、企業活動を反映する3つのサイクルを用いて会計的記号の意味内容を統一的に説明したことは、従来の研究にはほとんどみられなかったアプローチであり、意義のあるものである。さらに、事象サイクルの概念を用いて現行モデルを描写したことにより、公正価値のような近年の問題に対してサイクル概念の重要性を見出すことができた。 来年度は、本年度構築した3つの事象サイクルモデルをそれぞれ操作可能なモデルとして構築・記述するとともに、事象サイクルモデルと米欧で提唱された他のサイクルモデルとの比較研究を行い、その改良・発展を図る予定である。
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