2009 Fiscal Year Annual Research Report
経営者報酬における会計情報の役割:非効率的市場と利益マネジメントを前提にして
Project/Area Number |
21730367
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
椎葉 淳 Osaka University, 大学院・経済学研究科, 准教授 (60330164)
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Keywords | 経営者報酬 / 非効率的市場 / 利益マネジメント / 利益情報 / キャッシュ・フロー情報 / ストック・オプション / 評価誤差 / 動学モデル |
Research Abstract |
本研究の目的は、非効率的市場と利益マネジメントの存在を前提にして、経営者報酬における会計情報の役割を検討することにある。本研究は3年間をかけて進める予定であるが、初年度である本年度においてはまず、経営者報酬の基礎的な実証研究として、「業績連動報酬と会計情報の役割」(乙政正太との共著)と題する論文を公刊した。この論文は、日本の経営者報酬が業績連動的であるのかどうかを実証的に検討したものであり、特に2000年3月期以降の会計制度の変更による会計情報の役割を明らかにするため、連結会計利益およびキャッシュ・フロー情報が経営者報酬の変化に対する説明力を有するのかどうかを分析した。分析の結果、従来の実証研究の結果と一致して、会計制度の大幅な変更があった後においても利益情報は経営者報酬と正の関係があった。また、会計情報が重要な評価指標となっているとともに、限定的ではあるが、公表済のキャッシュ・フロー情報が利益情報の補完的役割を果たすケースがみられた。 また、現代の経営者報酬において重要となるストック・オプションについても、「ストック・オプションの評価誤差:理論・実証研究からの示唆」(瀧野一洋との共著)と題するサーベイ論文を公刊した。この論文では、ストック・オプションの価値評価にについて、評価公式それ自体が取り込むことのできない事由により発生する評価誤差と、評価公式適用者の裁量による評価誤差の2つの評価誤差という観点から整理した。これは利益マネジメントの存在を前提にした経営者報酬を考える上でも重要な論点である。 さらに、アメリカ会計学会において、"Earnings Management in Dynamic Settings"(村上裕太郎との共著)と題する論文を報告した。この論文は、経営者の利益マネジメント行動を分析する新しい動学モデルを提示したものである。
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Research Products
(3 results)