2010 Fiscal Year Annual Research Report
効果的な品質コスト・マネジメントに関する総合的研究
Project/Area Number |
21730368
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
梶原 武久 神戸大学, 大学院・経営学研究科, 准教授 (30292080)
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Keywords | 品質コスト・マネジメント / 品質コスト / 品質リスク / 戦略的コストマネジメント / コストビヘイビア |
Research Abstract |
日本企業における品質コストマネジメントの実践状況について、フィールドスタディおよびサーベイリサーチを実施し、以下の点が明らかになった。第一に、日本企業による品質コストマネジメント実践の背景に、品質リスクの高まり、品質をめぐる投資とリターンの関係性の変化、部門間の相互依存性の高まりによる価値連鎖の全体最適化の必要性の高まりがある。第二に、多くの日本企業において、不具合の発生頻度の高まりよりも、不具合が業績に及ぼす影響度の高まりによって、品質リスクが著しく増加傾向にあり、その影響度の把握に失敗コストが重要な役割を果たす。第三に、品質リスクの増幅に伴い、従来の日本的品質管理への取り組みを見直す必要がある。従来,多くの日本企業では、ゼロディフェクトを目指し、不具合の発生頻度を限りなく低くすることによって品質リスクに対処してきたが、不具合による業績への影響度が高まる中で、品質管理への取り組みを見直す必要性が生じている。具体的には、リスクマネジメントの観点を織り込みながら品質管理に取り込むことが有効であり、そうした取り組みを促進する上で、PAFアプローチによる品質コストマネジメントが一定の有用性を持っている。第四に、品質コストマネジメントは、価値連鎖全体における品質コストの最適化を志向する戦略的コストマネジメントであるが、品質コストの最適化を図るためには、従来的な部門別予算管理や経営者や部門管理者の短資眼的な利益操作行動など、様々な阻害要因があることが明らかになった。品質コストが戦略的コストマネジメントとしての有用性を発揮するためには、これらの阻害要因を克服することが不可欠である。今後は、価値連鎖の全体最適化、リスクマネジメント、組織間コストマネジメントの観点から、効果的な品質コストマネジメントのあり方についてさらに研究を進展させる必要がある。
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Research Products
(4 results)