2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21730379
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Research Institution | Senshu University |
Principal Investigator |
西居 豪 専修大学, 商学部, 准教授 (30439517)
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Keywords | BSC / マネジメント・コントロール / 戦略マネジメント / 非財務指標 / テンション・マネジメント / 日本企業 / 定量的研究 / 類型化 |
Research Abstract |
本研究の主たる目的は、文献レビュー・質問票調査・インタビュー調査を通じて、日本企業によるBSC実践の多様性を抽出し、その有用性を検証することにある。 平成22年度は平成21年度に行っていた「BSCを中心とした業績管理システムによる戦略マネジメントについて言及した文献のレビュー」が若干不十分であったために、より網羅的にフォローしBSC研究の全体的方向性を示すことができるように修正を行った。その結果、BSC研究の全体的進展度を明確にし、BSCの導入/運用プロセスに基づいたフレームワークのもと、「業績評価」、「報酬とのリンケージ」、「因果関係」、「コントロールとしての利用方法」、「導入研究」、「成果」の六つの領域ごとに、先行研究の検討を行い、今後の研究課題を導出した。これらの文献レビューによって得られた知見は、本研究の主たる目的であるBSC実践のための分類基準のみならず、パッケージとしてBSCによるマネジメントを捉える際の包含要因をも明確にするうえで有用であった。これらの研究成果は、『専修大学研究所報』の第25号にて、「バランスト・スコアカード研究の系譜と展望」として公表した。 また、BSCの基本は業績評価システムにあるという認識のもと、製品開発活動における業績評価に着目した質問票調査とインタビュー調査(平成21年度実施)の結果を、大阪府立大学『経済研究』の第56巻第3号にて、「原価企画活動の展開と課題」として公表した。BSCは多面的な活動を評価対象とするので、製品開発活動のみに着目するだけでは不十分である。しかしながら、営業部門などの他部門の業績評価システムに比べ、製品開発活動の業績評価は先行研究ではあまり着目されておらず、研究蓄積が不十分であるため、BSCに関する調査を展開するうえで、こうした領域の知見は必須であると考えた。調査の結果、インセンティブ・システムとの関連性も含めた評価システムに関する多様な実態が明確になった。
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