2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21730389
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Research Institution | Okayama Shoka University |
Principal Investigator |
川本 和則 岡山商科大学, 経営学部, 教授 (70330537)
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Keywords | 会計学 / 会計基準 / 国際会計 / 将来事象会計 |
Research Abstract |
本研究の目的は、個別の会計基準の内容とそれらがもつ会計上の意味の検討を通じて、将来事象会計(非常に多様な将来予測要素を内包する会計処理)の導入に対する合意の獲得方式を検討し、将来事象会計基準の国際的形成のあり方の一端を明らかにすることである。この将来事象会計基準の国際的形成に関する問題は、現代会計を理解するうえでの重要な問題のひとつである。 平成22年度は、昨年度に引き続き本研究に関する文献を収集し、現在、国際的に注目されている重要な会計問題、および現在の国際会計基準・国際財務報告基準の形成方法に関する研究を進めた。 とくに、国際財務報告解釈指針委員会(IFRIC)(現在の名称は国際財務報告基準解釈指針委員会)が2007年に公表したIFRIC解釈書第13号『カスタマー・ロイヤルティ・プログラム』(以下、第13号と略す)の内容を詳しく研究した。この第13号は、将来のある時点で報償クレジット(商品販売時に顧客に付与されたポイントなど)と引き換えに商品等を提供しなければならないかもしれないという将来事象に関する会計処理を規定するものである。研究の結果、この第13号の内容が不確実性を伴う負債項目を従来よりも早期に計上することを通じて収益の計上時点を遅らせうるものであること、および、その金額が従来よりも大きくなりうるものであることを明らかにした。さらに、この第13号の会計処理が国際会計基準審議会(IASB)の概念フレームワークなどにその理論的正当性を支えられながら、多様な将来予測要素を内包する報償クレジットの会計処理の正当性を支えるものであることを明らかにした(この研究成果は平成22年度に研究論文として公表した)。 平成23年度はこの研究成果を踏まえつつ、その他の将来事象会計基準の研究をさらに進展させる予定である。
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Research Products
(1 results)