2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21730389
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Research Institution | Okayama Shoka University |
Principal Investigator |
川本 和則 岡山商科大学, 経営学部, 教授 (70330537)
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Keywords | 会計学 / 会計基準 / 国際会計 / 将来事象会計 |
Research Abstract |
本研究の目的は、個別の会計基準の内容とそれらぶもつ会計上の意味の検討を通じて、将来事象会計(非常に多様な将来予測要素を内包する会計処理)の導入に対する合意の獲得方式を検討し、将来事象会計基準の国際的形成のあり方の一端を明らかにすることである。この将来事象会計基準の国際的形成に関する問題は、現代会計を理解するうえでの重要な問題のひとつである。 平成23年度は、昨年度に引き続き本研究に関する文献を収集し、収益認識に関する会計やアメリカにおける偶発事象会計といった個別問題に関する会計基準を例に、将来事象会計基準の国際的形成について研究した。 とくに、アメリカの財務会計基準審議会(FASB)が発行している会計基準である『FASB会計基準の成文化(FASB Accounting Standards Codification)』(以下、単にASCと略す)のトピック450「偶発事象」(トピック450は主に、不確実性を伴う将来事象項目一般に関する会計処理を規定している)の内容とそれがアメリカ会計制度において果たす役割に関して検討した。 それと同時に、アメリカ国内においても、国際的な場面においてもますます将来事象会計基準の導入が進展する状況下において、ASCトピック450が持つ会計上の意味を、将来事象会計基準の国際的形成の動向とASCトピック450との関係も含めて研究した。 本研究は将来事象会計基準の国際的形成のあり方とその会計上の意味を、(1)国際会計基準審議会による国際的な会計基準形成と、(2)アメリカにおける国内的な会計基準形成との両面から検討するものである。上述のASCトピック450の研究も、この本研究の研究方針に基づいて行っている。このASCトピック450の研究は平成24年度も引き続き行う予定であり、できるだけ早期に研究成果を公表できるよう努める予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまで、個別の将来事象会計基準のいくつかを例に、その内容とその会計基準がいかなる会計上の意味を持つのかを検討してきた。それらの検討を通じて、将来事象会計基準の国際的形成のあり方に関する研究を進めることができた。平成23年度はこれらの研究成果を公表するに至らなかったという問題があるものの、本研究は当初予定していた目的の達成にむけて、おおむね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度においても、引き続き多様な不確実性を内包する将来事象会計基準の国際的形成に関する個別的研究を進展させたい。また、これらの個別的問題の検討を通じて、IASBを中心とした会計基準の国際的形成活動とその活動がアメリカなどの一国の会計基準に与える影響の両面から、将来事象会計の導入に対する合意の獲得方式を検討し、将来事象会計基準の国際的進展のあり方の一端を明らかにできるように研究を進める予定である。 平成24年度においては、できるだけ上述の研究成果を公表しうるよう努めるつもりである。
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