2009 Fiscal Year Annual Research Report
貸借対照表の貸方区分モデルと資本利益計算構造の決定
Project/Area Number |
21730391
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Research Institution | Hiroshima University of Economics |
Principal Investigator |
池村 恵一 Hiroshima University of Economics, 経済学部, 講師 (70409621)
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Keywords | 資本と負債の区分 / 資本概念 / 貸方区分モデル |
Research Abstract |
平成21年度の研究では、貸借対照表の貸方区分モデルを導出するための基礎的な検討として、基本的な金融商品(普通株式、優先株式、自社株式を対象とした売建コールオプション、自社株式を対象とした売建プットオプション、および社債)の保有者を対象に、それら金融商品のペイオフパターンの観点から、グルーピングを行った。そのうえで、資本を資産から負債を差し引いた残余として規定するのではなく、資本を優先的にかつ直接的に規定するという観点から、企業会計で想定されるいくつかの基本的な資本概念を検討して抽出した。すなわち、平成21年度の研究では、「基本的な金融商品のペイオフパターンの分析→基本的な金融商品のペイオフパターンを基準にした、金融商品の保有者のグルーピング(利益の帰属主たる資金提供者の模索)→資本概念の決定」という手順をふんで、企業会計においてさまざまに想定される基本的な資本概念を直接的に検討した。 平成21年度の研究の意義は、5つの基本的な金融商品の保有者を対象にグルーピングを行うことで、資本を直接的に規定するアプローチに基づいて、企業会計で想定される基本的な資本概念の類型を提示したことにある。つまり、平成21年度の研究は、企業会計で想定されるいくつかの貸方区分モデルを導出するための足がかりを提供している。このことから、平成21年度の研究は、本研究課題の遂行にあたり、極めて重要な役割を果たしているといえる。
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