2010 Fiscal Year Annual Research Report
貸借対照表の貸方区分モデルと資本利益計算構造の決定
Project/Area Number |
21730391
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Research Institution | Hiroshima University of Economics |
Principal Investigator |
池村 恵一 広島経済大学, 経済学部, 准教授 (70409621)
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Keywords | 負債と資本の区分 / 資本概念 / 貸方区分モデル |
Research Abstract |
平成22年度の研究では,伝統的な会計主体論やOhlson and Penman(2005)で支持される普通株主の見地に基づく資本概念,さらにはわが国で用いられている株主資本の概念など,さまざまに想定される資本概念を参照しながら,平成21年度の研究で抽出した資本概念に基づいて,5つの貸方区分モデルを導出した。また,平成22年度の研究では,5つの貸方区分モデルを前提に,資本と負債の範囲を決定することが,利益計算にどのような影響を及ぼすかについて検討した。このような検討を通じて,資本の範囲が決定されれば,それに基づいて負債の範囲も決定されるが,この負債の範囲の決定は,利益の計算要素の決定にもつながりうるという点を指摘した。このことは,資本の決定により利益の計算構造が決定されるという一定の関係性を示唆していると思われる。また,このような検討を通じて,5つの貸方区分モデルのもとで5つの利益計算構造が成立することを指摘した。 平成22年度の研究の意義は,多様な文献で指摘される資本概念を参照しながら,平成21年度の研究で抽出した5つの資本概念に基づいて,5つの貸方区分モデルを導出したこと,それら貸方区分モデルの検討を通じて,資本概念の決定が利益計算構造の決定につながりうるという関係性を指摘したこと,さらに資本概念と利益計算構造の多様な組合せを提示したことにある。これら研究の意義については,本研究の目的を遂行するにあたり大きく寄与することが期待される。
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