2010 Fiscal Year Annual Research Report
博物館における戦争展示とその受容に関する基礎的研究
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21730408
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
金子 淳 静岡大学, 生涯学習教育研究センター, 准教授 (00452178)
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Keywords | 博物館 / 展示 / 戦争 |
Research Abstract |
本研究は、全国各地の公立の歴史系博物館における戦争展示の具体的な事例を取り上げ、そこで展開されている自治体による「戦争の語り」の内実とその姿勢を明らかにしていくことを目指すものであるが、2年次となる平成22年度においては、引き続き文献調査を進めた一方、戦争と同様に「負の記憶」として戦後史に刻まれている「公害」にも注目し、自治体による「公害の語り」についてもあわせて調査を進めた。 具体的には、四日市市立博物館における「公害展示」を対象として、公害に関する展示内容の分析、展示以外の公害表象に関する行政施策についての実態調査、公害問題を抱える他自治体での同様の事例に関する比較調査等を行い、自治体による「負の記憶」の語りの現状とその課題について検証した。その成果は、「公害展示という沈黙-四日市公害の記憶とその表象をめぐって」(『静岡大学生涯学習教育研究』13号、2011年)としてまとめた。 最終年次となる平成23年度においては、これまでの調査結果を踏まえながら、具体的な博物館における展示分析を中心に進めていく。また、展示手法だけでなく、解説パネルの文言、映像や写真の選択、展示資料の種類など、実際の展示内容の確認を行い、戦争展示が成立するに至る一連のプロセスの解明や、「戦争の語り」の内実とその姿勢を明らかにしていくとともに、3年次にわたる調査から得られた知見を総合して研究課題全体の総括に努め、各種媒体に発表する準備を行う予定である。
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