2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21730409
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
竹ノ下 弘久 静岡大学, 人文学部, 准教授 (10402231)
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Keywords | 日系ブラジル人 / 国際移民 / 階層移動 / 非正規雇用 / 世代間移動 / 経済危機 / 福祉・生産レジーム / 失業 |
Research Abstract |
本年度は、国際移民の社会経済的地位上昇の可能性を探るため、主として3つの研究を行った。第1に、日系ブラジル人の社会経済的地位上昇として、従業上の地位と職業に注目した。多くのブラジル人は、非正規雇用の製造業の非熟練労働に従事しているが、どのような要因が、そうした不安定な職業から、より安定したフルタイムの正規雇用で、ホワイトカラー労働に従事することを可能としているのか、2007年に静岡県全域で行われた調査のミクロデータを用いて、検討した。その結果、本人の人的資本に加えて、社会関係資本や地域の編入様式が影響を及ぼしていた。第2に、国際移民の社会経済的地位上昇を、世代内移動だけでなく、世代間移動の観点からも明らかにするために、ブラジル人の子どもたちの教育達成の規定要因について検討した。その結果、親の人的資本、トランスナショナリズム、家族における文化変容のパターン、編入様式の地域間の差異が、子どもたちの高校進学の対数オッズに有意な影響を及ぼしていた。加えて、こうした教育達成に関する基礎分析として、親子関係と子どもの教育達成についての分析も併せて行った。第3に、こうした国際移民の社会経済的地位上昇は、受け入れ社会における景気動向に大きく左右される。2008年後半以降の世界的な同時不況が、日系ブラジル人の社会経済的状況にどのような影響を及ぼしたかについて、2009年に静岡県全域で行われた質問紙調査のミクロデータを用いて、基礎分析を行った。そして、ハローワーク、国際交流協会、自営業に従事するブラジル人に対して、インタビュー調査も行った。
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