2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21730410
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
渡辺 克典 Nagoya University, 名古屋大学環境学研究科, 助教 (60509181)
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Keywords | 当事者運動 |
Research Abstract |
今年度は、当事者運動比較に向けた方法論の検討と当事者運動に関する資料収集をおこなった。また、それらの中間報告として研究会発表・パネル報告をおこなったほか、社会学・社会福祉学における障害者運動を検討するシンポジウムを開催した。(1)方法論の検討について:病者・障害者による当事者運動は、福祉国家において重要な位置をしめるアクターである。しかし、これらの当事者運動の包括的な検討はおこなわれていない。病者・障害者の当事者運動の背景には、それぞれの病気・障害をめぐる政策の違いがある。これらの側面は社会運動をめぐる構造的な誘発性として位置づけることができる。また、従来の運動組織の方針転換や新たな団体の立ち上げには政策だけではなく他の社会運動の影響によるフレーミング(問題状況の定義・解釈過程)がみられた。これら2つの側面は、病者・障害者の当事者運動を包括的に研究する枠組として考えられた。(2)当事者運動の活動について:障害者による当事者運動を中心として予備調査をおこなった。障害者による当事者運動は、戦前からの活動のほか、戦後の知的障害者をめぐる親の会の活動、1970年代の「青い芝の会」神奈川連合会以降の解放運動、1980年代以降の自立生活運動、近年の障害者権利条約をめぐる活動などをあげることができる。また、病者については、政策に関する背景としてスモンなどの薬害問題との関連が課題として浮上した。それぞれの時代において、活動方針に影響を与えたと考えられる歴史的な背景やイベントについての分析が課題として見いだされた。
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Research Products
(2 results)