2010 Fiscal Year Annual Research Report
パーソンズ社会学理論を基盤とした生命医療倫理の創成に関する研究
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21730411
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
田村 周一 神戸大学, 人文学研究科, 学術推進研究員 (50467643)
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Keywords | 社会学理論 / 生命倫理 / 医療倫理 |
Research Abstract |
平成22年度は、本研究の目的と研究年次計画をふまえ、前年度に引き続いてタルコット・パーソンズの社会学理論に関する資料収集・整理を進めつつ、とりわけ医療・生命倫理の文献資料の収集と分析を行った。そのうえで現代社会の様相をふまえた社会理論の精緻化にむけた考察を行った。 パーソンズの社会学理論に関連する文献資料の整理については、とくに未公刊資料の体系的な整理を継続して実施し、先行研究と照合しながら、パーソンズ理論の展開についての研究をすすめた。また未公刊資料のなかで重要と思われるものの翻訳をすすめ、今後の発表に備えた。 医療・生命倫理に関する文献研究については、主に健康概念の分類と系譜、脳死判定と臓器移植に関する議論を集中的に考察した。とくにこれまでの医療社会学の知見をもとに、それらをA.ギデンズ、U.ベックといった現代社会論の緒論と接続させながら、今日的な理論的再構成の可能性と課題について検討した。こうした作業は,高度な医療技術の発達にともなって生じる新たな制度的課題及び倫理的問題を社会学的な観点から明確化する糸口となる。 また7月には国際社会学会(International Sociological Association)の第17回世界大会に参加し、Distributed Paperを提出するとともに、海外の研究者と学術交流を行い、社会学理論及び医療社会学の領域の最新の世界的研究動向について情報収集を行った。
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