2009 Fiscal Year Annual Research Report
アジア村落開発・発展における日本村落研究の貢献可能性に関する社会学的研究
Project/Area Number |
21730413
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
辰己 佳寿子 Yamaguchi University, エクステンションセンター, 准教授 (80379924)
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Keywords | 村落 / 地域 / コミュニティ / 誇り |
Research Abstract |
21年度は、明治以降の日本村落研究の系譜について、主に社会学的な先行研究を整理し、それらの貢献を過去から現在に至る日本の村落社会の変容から検討した。この文献研究の成果の一部は、「『開発社会学』の挑戦:貧困研究と社会学」『貧困問題とは何であるか』(下村恭民・小林誉明編)にまとめた。 日本国内の聞き取り調査は、山口県の農山漁村(阿武町、周南市鹿野渋川、周防大島町等)を中心に実施し、文献研究を通じて得た知見が実際の村落社会の変容とどのようにかかわっているのかを検討した。山口県では、生活改善や集落点検などの手法が現在でも受け継がれていること、さらに、これらの手法が現代的な問題に対応するために地域性を帯びて新たな取組へと展開していることが明確になった。これらの調査の成果の一部は、「中山間地域における共生社会構築プロセスの社会学研究」「農村開発におけるコミュニティ・ベース・アプローチの可能性と限界」という題目で学会で報告したり、「女性の力で地域をつくる-山口県の『生活改善』の現場から-」『農村文化運動194号』にまとめた。 このような山口県の農山漁村でみられる手法がアジアの村落開発に示唆的であるか否かの調査研究を今後進めていくにあたって、本年度は、海外の調査対象地域の候補地を検討した。ネパール山岳地域では、傾斜地における柑橘栽培の可能性に関する調査や集落構造の調査を行い(他の研究費を使用)、韓国全羅南道海南郡では、過疎・高齢化に直面する農村の実態と海南サイバー農業人研究会の新たな取組について調査を行った。
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