2010 Fiscal Year Annual Research Report
アジア村落開発・発展における日本村落研究の貢献可能性に関する社会学的研究
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21730413
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
辰己 佳寿子 山口大学, エクステンションセンター, 准教授 (80379924)
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Keywords | 村落 / 地域 / コミュニティ / プロセスアプローチ / 集落 |
Research Abstract |
22年度は、引き続き、日本村落研究の系譜に関する文献研究を進めた。社会学だけでなく、民俗学や農業経済学分野にも範囲を広げて、村落を総合的に捉えよう心掛けた。日本国内の聞き取り調査においては、山口県の農山漁村(阿武町、周南市鹿野渋川、周防大島町等)のなかでも、いくつかの集落(コミュニティ)に焦点を絞って、集落レベルの調査を行った。その成果は、「中山間地域における共生社会構築プロセスの社会学的分析」「山口県の地域振興と国際協力(4)」「渋川のおばちゃんたちが挑む地域づくり」として公表した。また、山口県の農山漁村を客観的に把握するために、和歌山県、京都府、愛媛県の農山漁村の視察も行った。 9月に開催されたアジア農村社会学会(於フィリピン)では、ネパールの村落開発・発展におけるコミュニティーの役割について研究発表を行った。ネパールにおいては、研究者やNGO関係者等によるワークショップを開催し、ネパールの村落開発・発展に示唆的な日本の正負の教訓について議論を行った。さらに、集落レベルでの会議を開催し、来年度の調査計画および調査実施体制や調査のフィードバック等について確認を行った。 以上の文献研究、聞き取り調査、研究発表、ワークショップ等を通して、国内外問わず、村落開発・発展においては、集落コミュニティという社会単位を基軸としながら集落外との関わりを総合的・動態的に捉えていくことが重要であるとの知見に至り、一時的で固定的なモデルではなく、プロセスを重視した動態的なモデルの構築が今後の研究課題となった。
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