2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21730416
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Research Institution | 宮崎学園短期大学 |
Principal Investigator |
桑畑 洋一郎 宮崎学園短期大学, 講師 (50532686)
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Keywords | ハンセン病 / 医療社会学 / スティグマ / 社会復帰 / パッシング |
Research Abstract |
本年度は、前年度までに行った調査・文献収集に基づいて、論文の執筆を主として研究活動を行った。結果、投稿論文3本(内査読あり2本)と報告書1編を上梓することができた。 3本の投稿論文では、ハンセン病療養所から退所し「社会復帰」をした者たちが、退所後の生活においてハンセン病罹患経験を隠さざるを得ない状況を明らかにし、「罹患経験を隠すことで生じることは何か」、「罹患経験を隠さざるを得ないのはなぜか」といった点を考察した。 報告書には、この3本の投稿論文に加え、研究費を助成される直前に公表した「ハンセン病者にとっての『社会復帰』とは何か-沖縄のハンセン病者を事例として」(日本社会分析学会誌『社会分析36号』に所収)を収録した。日本において「ハンセン病療養所から社会復帰すること」の意味を総体として考察する報告書となったと考える。 交付申請書に記載した通り、これまで日本のハンセン病研究においては、ハンセン病者の経験した差別や隔離政策、あるいはハンセン病療養所内で生活するハンセン病者への注目が集められ、療養所を退所して暮らす社会復帰者や、社会復帰をすることそのものへの研究はほとんど行われてこなかった。 今回行った一連の研究によって、日本のハンセン病研究に新たな知見を提供できたと考えられる。また、医療社会学の領域に対しても、本研究は「特定の病いを病んだ経験が-その治癒後も-社会において何かしらの意味を持つこと」「そうした意味を付与する社会のありよう」を明らかにした点で貢献できたと考える。
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Research Products
(4 results)