2009 Fiscal Year Annual Research Report
ドイツ緑の党の再検討-保守的な地域におけるオールタナティブな環境運動の成功-
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21730417
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
保坂 稔 Nagasaki University, 環境科学部, 准教授 (80448498)
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Keywords | 緑の党 / 人智学 / 敬虔主義 |
Research Abstract |
バーデン・ヴュルテンベルク州は、環境首都フライブルクがあるなど、環境先進国ドイツの中でも取り組みが注目されている。保守色の濃い同州において、緑の党を特徴づけている存在に、人智学や敬虔主義などの宗教的要因がこれまで指摘されてきた。平成21年度は、バーデン・ヴュルテンベルク州緑の党の成功要因について、文献研究をおこなった。その結果、バーデン・ヴュルテンベルク州には、「根気よく取り組み発明する」といったことわざに象徴される地域的特徴があることが判明した。このことわざは、同州は歴史的に資源がないため、発明に取り組んで地域的発展を目指すことを意味している。このため、新しいアイディアを受容する地域的な素地が歴史的に存在するのである。 また平成21年度は、文献研究で得られた視点を交え、環境運動成功の背景についてバーデン・ヴュルテンベルク州緑の党党関係者(緑の党の州議会議員や首都であるシュットットガルト市議会議員ら12人)にインタビュー調査を実施した。これまで緑の党の背景としては、敬虔主義や人智学といった観点が紹介されてきたが、これらの指摘は今回インタビュー調査を実施した党関係者からみて不十分な説明であった。「根気よく取り組み発明する」といったことわざを、同州緑の党の成功要因として挙げる党関係者がインタビュー調査でみられた。オールタナティブ政党である緑の党がバーデン・ヴュルテンベルク州で成功した背景には、発明を重視するという地域的特徴があることが明らかになった。
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