2011 Fiscal Year Annual Research Report
ヨーロッパにおける暴動発生地区の実態と「領土的スティグマ化」の比較研究
Project/Area Number |
21730430
|
Research Institution | Nanzan University |
Principal Investigator |
森 千香子 南山大学, 外国語学部, 准教授 (10410755)
|
Keywords | 社会学 / 地域社会 / マイノリティ / 都市・郊外 |
Research Abstract |
本年度の目的は以下の二点であった。第一に、三国の調査対象地とその周辺の地域社会との関係を調べ、「領土的スティグマ」の実態を明らかにすること、第二に、この「スティグマ化」がもたらす社会的帰結の検討を行うことであった。そのため、年度の前半には、前年度に行った海外共同研究者との議論を受けて、調査結果の再検討をすすめた。さらに関連文献・資料に再度あたり、既存データの再検討を行って、本研究調査の分析と比較・検討を行った。また夏の追加調査の準備として、調査日程、方法、対象者を選定し、調査依頼を出す。海外の協力者とは進捗状況をインターネット・電話で随時報告しあった。その上で、8月に三週間の追加調査を行い、また9月には海外研究協力者との打ち合わせを実施して、総括に入るための準備を行った。年度後半は、追加調査データの整理と分析作業を行った。また関連分野の専門家から専門的知識の提供を受け、そこで得た知見を取り入れながら、報告成果をまとめた。 本研究の成果としては以下の二点があげられる。一つめが、これらの荒廃地区が周辺の地域(の関係性を明らかにしたことであり、具体的にはこれらの地区が「誰も足を踏み入れられない」「近づきたくない」など、地域社会全体できわめてネガティブな空間として認識され、そこの住民に対しても否定的なイメージがあり、それが相互作用を生み出し、その空間/領土に対する「スティグマ化」のプロセスが発生していることがわかった。二つめは、このような「領土的スティグマ化」のプロセスにおいて、その地区の住民が自ら自分の地区に対して恥など否定的な意識を内面化する傾向がみられ、それがコミュニティ内部で比較的諸資本を多く所有する層の外部流出を招き、コミュニティの弱体化、解体を促し、それがさらにスティグマ化を強化するという「負のスパイラル」のプロセスを明らかにした。
|
Research Products
(11 results)